人手不足なのに給料が上がらない人や会社の特徴とは?
人で不足でこんなに忙しいのに給料が低いのはなぜ?
昨今の日本社会は、様々な要因が複雑に絡み合い、人手不足が問題になっています。さらに人手不足であるにもかかわらず、仕事をどんなに一生懸命頑張っても給与には反映されにくいと感じている方も多いはずです。
ただしこの人手不足、すべての業界、企業に当てはまるとは限りません。業界、会社規模、職種、地域などによって大きな差があるのが現実です。
ここでは人手不足であるにもかかわらず給料が上がらない、上がりにくいケースをご紹介していきます。
人手不足の原因
まず、なぜこんなにも日本社会は人手不足と言われるのかを考えてみましょう。
人手不足の原因は大きく3つに分けられます。
少子高齢化が進み、今では40歳以上の労働人口が全体の57%を占めている状況。そのため、若手を採用したいと考えても若手の労働人口が減少しているため、優秀な人材は取り合いになり人手不足を引き起こします。
有効求人倍率が上がれば上がるほど、企業側ではなく就業希望者にとって優位な状態となります。少しでもいい会社にと考える方が多いため、中小企業は労働力確保に苦戦する状況です。
人気の業界、職種に偏りがあり、不人気の業界ではいくら求人を出しても求職者が応募してくれない状況です。
例えば、2020年のオリンピックを控えた建設ラッシュであるにもかかわらず、危険できついという理由で敬遠されがちな建設業界が代表例に挙げられます。
一方で多様な働き方を望む女性にも人気の高い一般事務の仕事は、IT技術やAIなどの台頭で求人自体が減少傾向しています。求職者が望んでも企業側は必要ないとしている職種もあり、両者のミスマッチが顕著に表れています。
では、これらの理由で人手不足が深刻化している一方で、なぜ給料が上がりにくい状況が生まれるのでしょうか。
給料を上げると下げられなくなる
もし仕事をきっちりしていて評価もされているのに、突然自分の給料が下がると言われたらどう感じますか?
おそらく多くの人が仕事に対するモチベーションが下がるはずです。
これは社会全般に見られる傾向です。個人の業績ではなく、景気が良ければ給料が上がり、景気が悪くなれば給料が下がる。これを繰り返すと生産性が下がり、結果として事業の業績にも響くという調査結果があるそうです。
つまり、過去に賃下げをしたことがない企業ほど、賃上げに慎重になるという傾向があります。一度上げた給料を下げ社員のモチベーションも下げてしまうこと、今後景況が悪化することを恐れて賃上げをできないケースです。
一般のサラリーマンの方で月給が上がらないと感じている方の多くは、ここに当てはまるのではないでしょうか。
非正規社員とシニア世代の関係
2019年5月時点の有効求人倍率は1.62倍で、やや下げたものの引き続き高水準を維持しています。企業は採用をしたいが、人手は不足している状態です。
しかしこの数字、ひも解いて細かく見ると、正社員の有効求人倍率は1.16%、非正規社員は約2.0%と大きく差が開いています。先に述べた雇用のミスマッチは、雇用形態でも起きているということがわかります。
さらに、この非正規社員の問題には高齢化によるシニア世代の労働者増加が絡んでいるのです。
現在の定年退職したシニア世代は、退職金で優雅に隠居生活とはならず、非正規雇用で仕事を続ける人がほとんどです。
直近の定年退職者には団塊の世代が含まれており、非正規社員としての就業を希望する人数が一気に、そして大量に増えました。
そうすると、シニアと同様に非正規社員としての採用を検討している若者が窮地に立つことになります。シニア人材は不足どころか余ってしまっている状況のため、賃金は上がりにくい状況です。
それに伴い、非正規社員の若手人材の給料も上がりにくくなってしまっているのです。
つまり、非正規社員として働いている20~30代の方にとっては、給与は上がりにくい状況と言えます。
正社員でも給料が上がりにくい業種とは
上では非正規社員の給与問題に触れましたが、正社員でも給与が上がりにくい業種もあります。
その代表例が介護と保育士です。
私がエージェントとして転職活動支援をしていたころ、これらの職種の方の転職理由を伺うと必ずと言っていいほど給与が低いし上がる見込みがないという話が出てきました。
高齢化による介護職の必要性の高まり、女性の多様な働き方を実現するために必要不可欠な保育所、いずれの業界もニーズはとても高いのに、深刻かつ慢性的な人手不足が続いているのです。
人手不足が続けば在職者の仕事量は増える、しかし一向に給料は上がらない、またそれが離職につながるという悪循環を繰り返している業界と言えます。
ではなぜそんなにも給料が上がらないのでしょうか。
理由は「公費」にあります。
介護サービスの費用は、介護保険から出されます。そしてその財源は被保険者の保険料と、国からの補助金が半々の割合になっています。
保育に関しては、保護者が支払う保育料と、国や自治体からの補助金が半々の割合です。
両者に共通する「補助金」が「公費」に当たるのですが、これはすなわち我々が払っている「税金」を財源としているのです。
2人の子供を持つ身からすると、高い税金を払っているのだから、いつもお世話になっている保育士さんに税金回してくれればいいのにと考えるのですが、それは国民の総意ではありません。
税金から出すとなると国民の納得感が大切になるので、簡単に上げることはできないというのが実態です。
かといって保険料や保育料を増やすということも困難なため、一向に介護職や保育士の給料は上がらないのです。
いかがでしたでしょうか。
給料が上がらない理由は多岐に渡ることはご理解いただけましたでしょうか。
日本社会の構造的な問題であったり、少子高齢化の影響で生じた矛盾であったり、税金の使い方であったり、残念ながら私たちで今すぐに変えられることではなさそうです。
しかしそんな中でも高収入を得ている人はいます。
資格所持者が優遇される職場であれば資格取得、経験を活かして転職するなど、自分自身でできることは必ずあります。
これからの時代は自分の人生をどのように生きていきたいかを考え、月並みな言い方ではありますが手に職をつけることはとても重要だと思います。
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