厚生労働省「ブラック企業公表」行政処分の段階で公表。なぜ、中小企業には適用されない?
厚生労働省「ブラック企業公表」行政処分の段階で公表。なぜ、中小企業には適用されない?
今までも違法な長時間労働や社員を使い捨てるような過酷な職場環境におき、ボロボロにしてきたブラック企業は、労働基準法違反や社員からの告訴により、摘発、書類送検されてきました。
しかし、それは被害にあった社員からの告訴があったからです。
しかしながら、ブラック企業の被害にあった社員は、裁判費用のことや、その後のことを考えると、被害を受けてもなかなか告訴できないというのが現状です。
また、ブラック企業だとは分かっていても、家族を養うために、住宅ローンのために、教育費のために、仕事を辞めることができず、追い詰められて、過労死や自殺してしまう社員も存在するのです。
労働基準法に違反している企業なんて腐るほどいますが、それを全て見つけるのは至難の業と言えるのです。
つまり、今のままでは、ブラック企業を見極めることも、捕まえることもできないということです。
また、摘発や書類送検されてからのブラック企業名の公表では、ブラック企業を撃退、撲滅する効果はないということです。
そういった理由もあり、今回の画期的な法律改正があったのでしょう。
厚労省の今回のブラック企業に関する法律改正では、行政指導の段階で、ブラック企業名を公表することができるので、かなりの数のブラック企業名が公表されるのではないでしょうか?
正式には、2015年5月18日から実施されるので、どのようなブラック企業名が公表されるのか?注目が集まります。
もし、あなたが勤務している会社が、ブラック企業だと公表されてしまったら、どうしますか?なんだかガッカリしてしまいますよね?
でも、自分の勤めている会社がブラック企業か?ブラック企業じゃないか?と感じるのは、社員1人1人によって異なるので、自分がブラック企業じゃないと思えば、そこは、少なくとも、その人にとってはブラック企業ではないのです。
ここがブラック企業対策、撲滅、撃退をする上で一番難しい点なのだと思います。
最後に、塩崎恭久厚生労働相が素晴らしいコメントを新聞に残していたので、ご紹介しておきます。
「長時間労働を強いるようなブラック企業は、企業名を公表してでも食い止めたい!」本当に素晴らしい言葉だと思います。
誰にもできなかった大胆で、画期的な法律改正だと思います。
今、全国のブラック企業は背中に冷や汗をかいているのではないでしょうか?
過労死した社員の遺族が企業名を公表して欲しいとお願いしても拒否されてきた。
今までの法律だと、ブラック企業名を公表することができなかったので、たとえ、ブラック企業に勤めたことで、過労死してしまっても、企業名が公表されることはありませんでした。
実際に起きた事例で、過労死した社員の貴族が厚生労働省に企業名を公表して欲しいとお願いしたところ、できないと拒否されてしまったのです。
これからは、きっとこんな不条理なこともなくなるのでしょう。
この法律ができたら、ブラック企業で過労死する社員もうつ病になってしまう社員も減らすことができるのではないでしょうか?
今までの生ぬるい法律とは違って、行政指導の段階で、問答無用で企業名が公表されてしまうのですから、今、日本中のブラック企業が焦って労働基準法を見直しているのではないでしょうか?
特に違法な長時間労働で成り立っているようなブラック企業は、抜本的に労働条件を変えるために奔走しているのではないでしょうか?
違法な長時間労働で莫大な利益をあげていた大企業のブラック企業も、この法律改正で、長時間労働ができなくなり、経営が厳しくなるのではないでしょうか?
企業名が公表されたブラック企業が、そのまま変わらずにブラックな労働環境を放置しておくとは考えられません。
株価のこともありますし、株主からもお咎めを受けることでしょう。
企業の規模が大きくなればなるほど、企業名を公表されるのダメージは大きくなってしまうのです。
しかし、それこそがこの法律改正の狙いなのです。
規模が大きく知名度も高い大企業のブラック企業が、ブラックな体質を変えていくことができれば、革命的なことだと思います。
ブラック企業はなくならない、撲滅できない・・・というのが今までの常識だったからです。
企業名を公表することで、多くのブラック企業が体質改善し、もしかしたらホワイト企業に生まれ変わってくれるかもしれません!
一時的にはブラック企業の長時間労働が減るので、利益も売上も減ってしまうと思いますが、ホワイト企業に生まれ変わることで、将来的には、企業の利益は上がるのではないかと思います。
なぜなら、企業は人、つまり社員が築き上げるものだからです。社員を使い捨てにしてるブラック企業は、今は儲かっていても、働きたいと思う社員がいなくなれば、倒産してしまうのです。
これからは、ブラック企業が激減し、ホワイト企業が増えて、「この会社に就職してよかった!」と思える若い社員が増えるのではないでしょうか。
一定条件を超えた大企業にしか適用されない?中小企業のブラック企業は生き残る!?
今回の法律改正はブラック企業を撃退、撲滅する上で非常に効果的な取り組みだと思います。
しかしながら、残念なことに大きな欠陥も見つかりました。
それは、一定条件を超える規模が大きいブラック企業にしか適用されないという点です。企業名が公表される条件を下記にご紹介しておきます。
- 複数の支店や営業所が全国にあり、社会的に大きな影響を与える大企業
- 従業員が300人を超える企業
- 1ヶ月の残業や休日出勤が100時間を超える企業。残業代が未払いの企業
- 1事業所で10人以上の社員に違法な長時間労働を強いている企業
どうでしょうか?凄まじいほどの欠陥がありますよね?
まず、なぜ、全国に支店や営業所があるような大企業にしか適用されないのでしょうか?
圧倒的に中小企業のブラック企業が多いのに・・・これでは中小企業のブラック企業で苦しんでいる社員を救うことはできないですよね?
従業員が300人以下の会社なら、どんなにブラックなことをしていても、社員を使い捨てにして激務をさせて過労死させても、うつ病にさせても、お咎めなしということですよね?
それほどひどい話はないと思います。
また、1ヶ月の残業や休日出勤を100時間以内におさえ、違法な長時間労働も10人以下におさえれば、企業名は公表されないで済むということですよね?
これもかなりの欠陥だと思います。
今回の法律改正は、ブラック企業を撲滅、撃退する上で画期的で躍進的なことだと思いますが、まだまだ甘いと思います。
18日に行われる全国労働局長会議で中小企業にも、この法律が適用されるように方針を変えて欲しいものです。