転職35歳限界説はウソ!売り手市場がまだまだ続くと思う理由を「人手不足」や「有効求人倍率」や「人口構造」から考えてみる。

転職35歳限界説はウソ!売り手市場がまだまだ続くと思う理由。

アベノミクスによってかどうかはわかりませんが、2008年のリーマンショック後より有効求人倍率は上昇し続け、倍率も年間を通して1.17倍(2015年)とバブル景気の時の数値に近づいてきました。

 

普段、このような転職に関するホームページを作っていることもあり求人倍率や転職市況についてのデータを目にすることが多いのですが、最近になってふと思ったことがあります。

 

それは「今回の有効求人倍率の高さ、人手不足の状況がまだまだ続く可能性がある」ということです。今回はどうしてそのような考えに至ったのか、理由を介して説明していきたいと思います。

 

 

最大の理由は「人口構造」の問題。

 

今回、人手不足が続くと思った最大のポイントは人口構造、つまり少子化の問題からきています。

 

紹介したいのデータとして「労働人口」と「総人口」のデータがあります。

 

まず、働き手である「労働人口」のピークは1998年の6793万人がピークでした。

 

そして「総人口」ですがこちらは2008年にピークをつけて、この年に人口減社会に転換しています。

 

労働人口のピークは1998年。この時同じくしてサラリーマン年収もピークアウト。

 

「労働人口」がピークをつけた1998年といえばバブル崩壊後10年ぐらい経ったぐらいになります。そしてこのタイミングで時を同じくしてピークアウトした1つのデータがあります。それはサラリーマン年収です。

 

サラリーマン年収のピークは1997年。労働人口がピークする1998年のわずか1年前です。当時の平均年収は約505万円となり。ここからゆっくりと平均年収が下がっていくことになります。最近のデータとして2013年のデータがありますが、2013年では409万円まで落ちています。

 

つまり労働人口のピークと、平均年収のピークは1997年~1998年ということでほぼ一致しています

 

あくまでも年次が相関しているということだけであって、それ以上の裏づけはありませんが個人的には大きな関係があると思っています。

 

総人口のピーク2008年で何が起きたか?

 

次は日本の「総人口」のデータについてです。この総人口ですが既に2008年にピークを向かえていることは先ほど説明しました。

 

ここに付け加えて紹介したいデータがあります。それは「有効求人倍率」と「転職サイト利用者の平均年齢」のデータです。平均年齢のデータはDODAから発表されているものを使わせて頂きます。※DODA(転職成功者の年齢を調査)

 

有効求人倍率は2008年からずっと上昇

 

まず有効求人倍率ですが、これはリーマンショックで経済が世界的に崩壊した2008年から実に8年間にわたりずっと上昇しています。この8年間という長さは、過去の上昇していた期間の長さと比べてもかなり長いです。さらに、2016年9月いまのところまだ数値が下がる雰囲気がありません。

 

アメリカの金利が上がることでアメリカが景気後退に陥り、2016年中にクラッシュして2017年~2018年ぐらいにまた1倍を切る可能性があると思っていますが、オリンピックも2020年に控えていて、「もしかしたらここまで続くかもしれない」という考えも持っています。

 

どちらに転ぶのかわかりませんが、仮に続いた場合は「ジャパンイズナンバーワン」と呼ばれたバブル景気と同様に、空前の売り手市場ということになります。

 

35歳限界説がなくなり転職利用者の平均年齢が上昇中

 

そして転職サイト利用者の平均年齢も、ここ10年間でずっと上昇しています。

 

先ほどリンクで紹介したDODAの統計を見てみると、なんと転職サイト利用者の平均年齢のボトムも2008年となっていて、そこからどんどん30代や40代の転職者の割合が増加しています。

 

2016年下半期のデータでは実に30歳以上の転職者の割合が55%以上になっています。もはや35歳限界説というのは、はるか昔の言葉だと思ってもかまわない数値になっています。

 

 

このデータから見てわかるとうり、労働人口のピークでサラリーマンの「平均年収のピーク」が起こり、2008年の総人口のピークで「求人倍率の底打ち」と「転職者の年齢の底打ち」が起こったことになります。

 

この見解に、もう1つデータを加えて将来どうなるかを考えてみたいと思います。

 

 

人口分布図から考える2017年~2020年代の転職予想

 

次に見てもらいたいのが、人口分布図です。グラフの作成が大変なので国土交通省のデータを拝借します。

 

転職35歳限界説はウソ!売り手市場がまだまだ続くと思う理由を「人手不足」や「有効求人倍率」や「人口構造」から考えてみる。
※国土交通省白書より

 

この図を見ることで2000年の分布図と、2050年の予想分布図がわかります。あきらかに今後10年、20年も少子化が続くことがわかります。

 

つまり、もっともっと働く人は少なくなりますし、それでいて仕事を退職する65歳以上の人が増える。ということがまだまだ続くことになります。そして、同じくして総人口もどんどん減っていきます。

 

2008年から起こった「有効求人倍率の上昇」と「転職者の平均年齢の増加」ですが、これがもし総人口の減少などと相関があるのであれば、今転職市況で起こっていることは人口動態から起こるとても根本的な問題なんじゃないかという答えに行き着きます。

 

 

結論:これからも有効求人倍率は高止まりし、転職者の平均年齢が上がる。

 

結論として、これらのデータを見て思うのは、まだまだ転職者の平気年齢は上がり続けるんじゃないかということです。既に30歳以上の転職者が55%以上になっていますが、これはあくまでも通過点であり、売り手市場はいつまでというより、ずっと続くんじゃないかと思います。

 

さらに考察をしてみますと、1998年の労働人口のピークのタイミングでサラリーマン給与は下がり続けていますが、実はここ5年は横ばいで正確な数値をだすと2009年がボトムになっています。つまり年収の下落は2009年が底値であり終わっているということです。

 

実にこの1年前から転職者の平均年齢が上昇し始めています。つまりどういうことなのかと言うと。

 

企業による人件費の削減が限界まで来て、そのため「人材を取るために年齢上げてでもいいから雇用する」ということがこのあたりで起こったんじゃないかと思います。

 

ということは、人件費のいまのコストで維持するために、これからもどんどん平均年齢は上昇していく可能性が強いんじゃないかと思います。そして転職者の平均年齢の上昇がピークにきたとき、その時初めて「もう雇用の年齢を上げるのは限界なので、次は給与を上げて若手を取れ」ということで、この段階でようやく平均年収の上昇が再び始まるのではないかと予想ができます。

 

あくまでも1つの仮説です。

 

また、「有効求人倍率」のほうは景気と連動しますので、アメリカの政策金利が上昇してアメリカ経済がクラッシュして不景気に入れば、それに連動して1倍を切るかもしれません。

 

が、根本的には数値はこれまでよりも総じて高く、ちょっとしたことでまた1倍に戻る時代に入っていると考えています。

 

私達、転職サイトや転職エージェントの利用者にしてみると、かなり恵まれた状態です。これからも転職しやすい状況だということになります。